それは「もったいない」から始まった。

川島グループを一代で築いた川嶋義勝は、1944年に自転車やオートバイを販売する店の次男として誕生しました。
学生時代のある日、義勝はアルバイト先の某輸送機器メーカーで大量の金属屑が棄てられ、放置されている様子を目撃しました。時代は高度経済成長の真っ只中であり、大量生産、大量消費、大量廃棄が当たり前とされていました。義勝は「もったいない」と思い、そしてビジネスになるのではと直感しました。

手間のかかることにこそビジネスチャンスが隠れている。

義勝は、学校を卒業すると起業を決意。最初に目をつけたのは、銅の風呂釜の回収と販売でした。ガムシャラに働き、約半月で当時の大卒初任給の倍以上の売上を得るなど、大きな手応えを感じました。
風呂釜の次に着目したのが生産工場から出る金属スクラップのリサイクルでした。その頃のスクラップはアルミや銅、布までも、すべて一緒に置かれていました。それを業者が回収し分別、小問屋と大問屋を経由して合金メーカーが溶解し、生産工場に戻されていました。義勝は取引先に種類別のバケット（箱）を配置して分別の手間を省くと同時に、直接合金メーカーに持ち込むことで流通の簡素化を実現、コスト競争力を高めました。

アルミニウム・リサイクルビジネスへの挑戦

金属スクラップのリサイクルビジネスは、徐々に受け入れられ、取引先が増えるに従って従業員数も増加し、順調に業績を伸ばして行きました。
そんな当社に最初の転換点が訪れました。それは新たな非鉄金属、アルミニウムのリサイクルへの参入でした。ビジネスモデルは自動車用アルミホイールの大手メーカーから大量に排出されている切り粉を預かってインゴットに加工し、その加工賃を得るというものでした。ところが当時、銅のリサイクルビジネスが好調であったことに加え、アルミニウムの市場が今より遥かに小さかったことから、社内では懐疑的な見方が大勢を占めていました。それを押し切る形で『株式会社大州工業』を設立し、アルミニウムのリサイクルビジネスをスタートさせたことは、時流の変化への対応と川島グループの挑戦の1つに数えられています。

リサイクルアルミニウムの高純度化への挑戦

私たちの周りの様々なところで使用されているアルミニウムは、精錬方法などによって純度が大きく異なり、純度によって用途も変わります。そこで『株式会社メタルファ』では純度の高いアルミニウムを必要としているニッチな市場への挑戦を開始。海洋鉄鋼構造物に使われている錆に対する抵抗力の強い防食用アルミ合金や、スナック菓子の内側等の表面に付着させて劣化から守る蒸着用高純度アルミ等を製造しています。設立当時は非鉄金属類から食品の販売まで行う商社的な会社でしたが、独自の強さを追求していく中で製造業への転換を図りました。

世の中にないものだからこそ価値がある。

アルミリサイクルビジネスが順調に拡大する中、新規事業や新商品につながる幅広いリサイクル技術を研究する『シンコーフレックス』を設立しました。研究成果の1つにアルミドロスの再生があります。アルミドロスとはアルミニウムを溶解する際、表面に発生する副産物のことで、通常では廃棄処分されていました。しかし、それを鉄鋼用フラックスに再生することで鉄鋼メーカーへの販売が可能に。廃棄物を商品に変え、マイナスをプラスへ転換することに成功しました。

アルミニウムのパーフェクト・リサイクルを目指して

将来的な取扱範囲の拡大と成長に向けて、従来の加工賃ビジネスから、スクラップを購入してインゴットを販売するビジネスへの転換を図るため、『株式会社三光』を設立しました。これによりスクラップの回収から製造、販売までのすべてをグループ内で完結させるアルミニウム・リサイクルの一貫体制を構築。そしてインゴットを納めた先で出たスクラップを再び回収して加工して売るという循環型リサイクルが完成したのです。

エネルギー分野への挑戦

大州工業を経営統合してアルミニウムのリサイクル事業の体制強化を図ると同時に、新たに『東海ケミカル』を設立し、工業用油のリサイクル事業を開始しました。
その背景には1970年代前半の第一次石油ショックがありました。アルミニウムのリサイクル事業は、溶解用の燃料として重油を大量に使用するため、原油価格の影響をまともに受けていました。そこで「使用済みのオイルを再生して安いオイルをつくればいい」と着想。工場などから廃油を回収して再生し、それを販売するというビジネスをスタート。従来よりも安価での供給を実現しました。

創業20周年記念イベント

三光米原が設立された1985年は川島グループの創業20周年の年でもありました。その記念と新拠点の成功祈願のイベントとして、静岡県磐田市の三光本社から種火を滋賀県米原市の三光米原まで運んで炉に点火するという約200kmにおよぶ聖火リレーを敢行しました。これは主に、イベントの運営を通した社員同士の一体感の醸成を狙ったものでした。

B to Cビジネスのスタート

中部貴金属精鉱を設立し、工業用貴金属のリサイクル事業を開始すると、それを知った近隣の方から、「いらなくなったネックレスを買って欲しい」との問い合わせがありました。そこに潜在的ニーズを直感し、株式会社川嶋内に貴金属部門を設立しました。
ご家庭に眠っている貴金属を効率的に買い取るため、百貨店に話を持ち込み、催事としての開催に漕ぎつけました。しかし当時は、使わなくなったものであってもジュエリーを売ることには抵抗感がありました。そうした精神的なハードルを下げるため、当社の知人・友人にお客様になってもらったところ、それが呼び水となり、催事会場の前には長蛇の列ができました。
そしてジュエリーを売って得たお金をどのように使用しているかを調べたところ、かなりの額が百貨店内で使われていたことが分かりました。するとジュエリーのリサイクルビジネスに対する百貨店側の理解も進み、全国へと拡大。『株式会社カワシマゴールド』（現K-GOLDインターナショナル）として分社独立を果たしました。当グループでは初となる一般のお客様と直に接するビジネスでした。

「ホイールtoホイール」の実現

90年代初頭、国内経済は長い低迷期に入りました。川島グループでは新たなリサイクルビジネスとして自動車用アルミホイールのリサイクル事業に着手しました。当時は鉄製のホイールが主流だったため、初月の回収量はわずか数十本に留まりましたが、この先アルミホイールが普及すれば、回収量も必然的に増えることが見込まれていました。
アルミホイールはメーカー毎に独自の成分比で配合したアルミニウムを使用しているため、回収した後は破砕して合金地金の原料とすることが一般的なリサイクルの流れでした。しかし、これではアルミホイールを専門に回収することの優位性を見出すことができません。
そこで『株式会社マテリアル』では全国から回収したアルミホイールをメーカー別に仕分けし破砕。これを各メーカーに持ち込むことでメーカーでの成分調整の手間を省くとともに、同社においても自社で溶解しない分、燃料費等のコストを削減し、仕入れたアルミホイールのスクラップを高く売るという付加価値ビジネスを確立。スクラップをそのまま原材料として使用できる「ホイールtoホイール」のリサイクルが実現しました。なお、現在の月間回収本数は20万本以上で、国内シェアは6割を超えています。

介護分野への参入による社会貢献の実践

平成に入ると少子高齢化が深刻化し、福祉・介護分野への関心が高まっていました。当グループでもこれから伸びる分野であると同時に、社会貢献に直結するビジネスとして着目。電動カートなどの電動モビリティを取り扱う『株式会社セリオ』の設立に参加し、グループに編入しました。当初は販売のみでしたが、介護保険が始まった2000年以降、レンタルの開始に伴って業績を拡大。全国各地に営業拠点と特約店を配置してネットワークを形成しています。

アルミサッシ・リサイクルシステムの構築

1980年代後半に関東進出を果たすと株式会社サンコー埼玉から『株式会社三光埼玉』に商号変更し、関東エリアにおける製造拠点として事業を展開、アルミニウム合金地金の製造を開始しました。加えて、解体現場から出されるアルミサッシ屑をアルミサッシリサイクルプラントによって回収⇒破砕⇒選別しています。その際、機械・X線に目視を加えた三段階選別で異物を徹底的に取り除くことによって、そのまま原材料として使用できる品質を達成。溶解の工程を省略することでコストダウンを実現するとともに、そのまま原材料としてサッシメーカーに供給する「サッシtoサッシ」のリサイクルシステムが完成したのです。

経営基盤の安定化に向けた新事業への挑戦1【不動産編】

平成になるとグループ全体の売上が500～600億円規模へと成長しました。しかし、非鉄金属のリサイクルビジネスは原材料を調達してから売上になるまでには約半年を要す上に、金属相場の動きによって利益幅も大きく変動していました。そのため、キャッシュフローの安定化が必要となり、より安定的な収益が見込めるビジネスへの進出を模索していました。そこで着目したのが不動産でした。経営に行き詰ってしまったホテルなどを当社が購入し、家賃を銀行金利よりも低く設定してオーナーには経営を継続してもらいます。これにより自社物件として経営を続けるよりも資金繰りが容易になり、さらに十分な体力を蓄えた後には当社から土地・建物を買い戻すことが可能になるというスキームを作成しました。このように再生総合商社として不動産の再生にも力を入れています。

眠っている宝を探して

川島グループにおいても、レアメタルの一つであるインジウムのリサイクルに関する研究を開始しました。
インジウムは液晶パネルや有機ELなどの電極に使用されている金属です。当時、液晶ディプレイの需要が急速に拡大していたため、インジウムの市場価値も高騰し始めていました。このインジウムの世界最大の消費国は日本で、最大の生産・輸出国は中国。市場は完全に中国に牛耳られていました。そこで回収した廃液・廃棄物の中からインジウムを取り出し、高純度で再生する技術を独自に確立。『株式会社アルケムジャパン』を設立し、国内外でのレアメタルのリサイクルを事業化しました。

アルミ製品のメーカーとして

アルミニウム圧延業界で80年以上の歴史を持つ『日本圧延工業株式会社』を子会社化しました。当社の子会社となる前まで同社では、原料としてスクラップや再生原料は使わずに、新品のアルミ原料のみを使用していました。ところが新品のアルミ原料は高純度である分、高額でありコスト高を招いていました。それが当グループの一員となり、高品質のアルミスクラップを仕入れることでコストダウンを実現。当社としても高品質なアルミスクラップを一般的な二次合金メーカーに販売するよりも高値で取引できるという相乗効果を生み出しています。また、このM&Aにより川島グループは製品を製造・販売するメーカーとしての道を歩み始めました。

私たちの挑戦は終わらない

時代の要請を受け、また時代を先読みして、新たな道を切り拓いてきた川島グループ。私たちはこれからも社会の役に立つ事業を展開すべく、「いますぐ挑戦」を実践し続けます。